1993 年 62 巻 7 号 p. 666-675
非平衡プラズマや光を用いた半導体プロセスにおいて,気相中の中性非発光ラジカルはきわめて大きな役割を果たす.特にSiH3, SiH2, CH3, CF3などは,CVD時の薄膜形成あるいはエッチング時の側壁保護膜形成の前駆物質として重要であるが,従来その測定は不可能であった.しかし最近,赤外半導体レーザー吸収法をはじめとする新しいレーザー分光法や,しきい値イオン化質量分析法が開発され,それらのラジカルに関するプラズマ中の密度の測定や制御,素過程研究などが初めて可能になった.この成果は,半導体プロセス分野の次への発展につながると期待される.本報告では,最近の新しいラジカル計測技術の発展と主要な測定結果を紹介し,今後の展望について述べる.