1993 年 62 巻 7 号 p. 703-706
自然放射線により生じた常磁性の格子欠陥やラジカルを電子スピン共鳴(ESR)で検出し,その蓄積量から年代値を求める方法について紹介し,その新しい試みとして,固体H2O(氷)やCO2(ドライアイス)を用いたすい星や外惑星の物質の年代測定の可能性を探る基礎研究について述べる.また,サンゴ骨格(CaCO3)の信号強度分布をESR顕微鏡(イメージング)で調べ,CO2-ラジカルや不純物に関連したSO3-ラジカルを用いた環境評価の方法についても解説する.ESRは年代測定とともに,地球環境評価の手法としても役立つことがわかってきた.