1995 年 64 巻 5 号 p. 456-460
液晶表示素子作成には液晶分子の配向制御が不可欠である.液晶配向に用いられる高分子配向膜は,ラビング過程を経て一軸配向構造を得ていると考えられているが,表面構造をバルク構造と分離して決定した例は少なく不明な点が多い.偏光軟X線吸収分光法はシンクロトロン放射光を用いた比較的新しい分光法であり,優れた偏光特性を活かして分子配向を決定することができる.また,検出に電子収量法を用いることにより50Aの表面選択性を持っ.本研究ではいくつかの特異な液晶配向能を示すポリイミドについて本法の適用を試み,ポリイミド内部のアルキル鎖長に応じて,トランスートランソイド,トランスーシソイド,シスートランソイドの各種コンフォメーションが形成されていることを実験的に示すことができた.