1998 年 67 巻 12 号 p. 1414-1417
水素の二次元分析のための走査型水素検出顕微鏡 (Scanning Protoscope) を開発した.原理的には電子励起イオン脱離法(ESD)を応用したもので,飛行時間型 (TOF) の質量分析法を採用して高速,高感度に水素を検出することができる.この方法に小型の走査型電子顕微鏡用の電子銃を1keV以下の低速で使用することにより,水素の二次元分布をESDイオン像として得ることができる.分解能は電子ビーム径に大きく依存するが,低速電子を立ち上がりのよいパルスビームとすることで1μm以下の面分解能を得た.得られたイオン像と応用について述べる.