1999 年 68 巻 11 号 p. 1226-1236
本報告では, AlおよびAl-CuのEMに関する歴史的研究成果を解説をし, Blech/KinsbronおよびBlechの研究成果のULSI多層配線のEM信頼性問題への応用を説明した.また,最近のAl-Cuにおけるドリフト潜伏時間の存在から導かれたEM物理モデルを解説し,モデル検証実験の結果を示した.さらにモデルによる配線寿命の推定からAl-Cu配線の故障時間はAl中のCuの拡散時間に支配されることを示した.
また,現在精力的に開発が進められているCu配線のEMについて簡単に解説し, CuのEM現象は界面,表面をおもな拡散経路としている可能性を示した. Cu配線の対EM信頼性向上のためには,界面,表面物性の理解,その理解に基づくCu多層配線構造形成時の界面,表面制御が重要であることを指摘した.