2000 年 69 巻 1 号 p. 38-42
マイクロマシンを動かすためには,高性能の超小型駆動源の開発が不可欠である. Ti-Ni系形状記億合金スパッタ薄膜は,最も強力で大変位を発生するマイクロアクチュエーター材料として期待され,開発が進められてきた.開発の当初の目標はバルク材料並みの特性をスパッタ薄膜で実現することであったが,最近は薄膜固有の内部組織とそれに伴う特性改善によりバルク材料並みの安定した特性も実現し, Ti-Ni合金薄膜のアクチュエーター特性はすでに実用レベルに到達している. Ti-Ni系合金薄膜の開発の現状と, Si基板の微細加工により作製したTi-Ni薄膜マイクロアクチュエーターの開発の動きについて紹介し,この分野の将来展望を行う.