2000 年 69 巻 12 号 p. 1434-1438
原子・分子の二次元的な配列や層構造は,特異な磁性・電気伝導性を与え,それらが,しばしば応用面での利点・特徴となることはよく知られている.磁性体薄膜,高温超伝導体などもその例といえよう.ところで,層状構造を構築するにはいくつかの方法があるが,本稿ではラングミュア・プロジエツト(LB)法による導電性分子薄膜の構築をとりあげる.そして,特に筆者らが開発中の長鎖アルキルアンモニウム-Au(dmit)2に基づくLB膜中に超伝導相が存在する可能性について,磁化率および抵抗率
の実験結果をもとに述べる.