2000 年 69 巻 8 号 p. 956-964
薄膜・表面に対する関心は17世紀からもたれていたが, 19世紀になって組織的な研究が始まった. 20世紀に至って薄膜・表面の構造,組成,物性の観察法,測定法の飛躍的な進歩があり,豊富なデータが蓄積され,この分野は科学としての形が整えられた.同時に, 1950年以降の光学,エレクトロニクスをはじめとする現代技術における需要の拡大があり,今や薄膜・表面科学は先端材料を提供する科学技術の世界で中心的な役割を果たしつつある.ここでは薄膜・表面科学の成立の過程を過去の文献をもとに概観し,今後の発展を展望する.