高分子材料の分子鎖は共有結合で結合している.したがって,分子鎖を配向させると弾性率および破断強度が飛躍的に増大し,力学物性が改善される.本研究では,液晶高分子を機械的および磁場により配向させた.機械配向試料と磁場による配向試料の力学物性と熱膨張を測定し,両試料の物性値の相違と配向度依存性を考察した.磁場配向試料における配向方向の弾性率と破断強度は,機械配向試料よりも低い値を示した.しかし,配向方に対して直角方向の値は機械配向試料よりも高い値を示した.高温領域における磁場配向試料の線膨張率は機械配向試料より低い値を示した.磁場配向の利点は弾性率と膨張率の異方性が小さく,寸法安定性がよい試料が得られることである.