2001 年 70 巻 10 号 p. 1155-1164
21世紀前半には,大きな物質を削ってミクロなデバイスを作る微細加工から,個々の原子や分子を動かしてミクロなデバイスを組み立てる微細組み立てへの技術的転換期が到来する。個々の原子や分子を見て,動かして,組み立てる微細組み立て方式の実現には,多様な原子や分子を扱うさまざまな機能をもった多種類の工具が必要となる.走査トンネル顕微鏡(STM)や原子間力顕微鏡(AFM)に代表される走査プローブ顕微鏡(SPM)は,原子分子用工具として大きな可能性をもっているが,特に,黎明期を乗り越えて急激な成長・発展期に突入した非接触AFMは,次世代ナノテクノロジー時代を切り開く未来技術の基盤として戦略的に非常に重要である.