2001 年 70 巻 3 号 p. 296-299
スピン偏極電界効果トランジスタ(スピンFET)の動作原理と,実現するうえでの問題点について概説する.デバイス原理としてユニークな点は,スピン軌道相互作用によって二次元電子ガス中に注入されたスピン偏極した電子の向きを回転させる,というところにある. Rashbaスピン軌道相互作用が重要となる狭ギャツプ半導体において,ゲート電圧によりスピン軌道相互作用の制御が可能であることを示した.スピンFETのデバイスとしての可能性は,強磁性体電極から半導体チャネルへのスピン注入効率にかかっている.