2001 年 70 巻 5 号 p. 563-566
ナノテクノロジー技術の中でも注目度の高い磁性関連技術・材料の研究においては,磁区の観察や外部磁場への応答,ミクロ領域での磁気モーメントの評価などが必要となる。ところで,磁性体では円偏光内殻吸収において,磁気二色性 (MGD) が現れることが知られており,さらに光電子顕微鏡と組み合わせることでサブミクロンレベルでの解析が可能となる. MCDスペクトルからスピンならびに軌遵磁気モーメント,さらに磁気異方性エネルギーの評価が可能である.磁性薄膜や磁性超格子あるいは複合磁性体などでは,異なる原子の内殻励起エネルギーが異なることを利用して元素選択的な情報も得ることができる.このように,ミクロ・ナノ磁性体の研究における光電子顕微法の現状を紹介する.