ナノメートルスケールにおけるメゾスコピックな光と電子系のかかわりが,新しい機能をもったデバイスへと発展しつつある.光と電子系の相互作用がナノメートルスケールでどのような興味深い現象をもたらすかを,電子デバイスにおける信号や情報の伝達過程に視点をおいて考察し,励起の保持や散逸などの基本的問題を明らかにするとともに,新しい機能をもつデバイスの可能性を近接場光学とメゾスコピック電子系に関する現象論から検討する.モデルとして,励起の伝達という形態で機能する,光近接場を介して相互作用するメゾスコピック電子系から構成されたデバイスを取り上げ,そこに現れる散逸の制御という基本的な問題と,光近接場の特徴やメゾスコピック電子系の量子的振る舞いを生かした機能について議論する.