酸化物高温超伝導体のクーパー対のベアリング対称性が,運動量空間で通常の等万的なBCS s波ではなく,四葉のクローバーのような異方的なd波であることが最近確実なものとなっている.異方的なベアリング対称性の振る舞いは,トンネル電流ではアンドレープ束縛状態に起因するゼロバイアスコンダクタンスピークとなって現れる.また,ジョセフソン電流は奇妙な温度依存性をもつだけでなく,電極結晶軸/接合面のなす角度に依存する電流となる.実空間ジオメトリーにおけるこのような振る舞いは,通常の超伝導体,半導体ではみられないもので,新しいデバイス誕生の可能性を秘めていると期待される.