2002 年 71 巻 12 号 p. 1488-1492
シリコンをはじめとする無機半導体と同じように,有機半導体においても界面でバンドは曲がるのだろうか? われわれはこの問題を明らかにするため,超高真空下で単分子層からμm近くまでの広い膜厚にわたる有機膜の表面電位測定をケルビン法によって進めてきた.本稿では,フェルミ準位の一致を伴うバンドの曲がりについての検証結果を報告するとともに,有機分子のもつ永久双極子の自発的配列に伴い発生すると考えられる巨大表面電位の発生現象(広義のバンドの曲がりの一種)も紹介する.