携帯電話の急速な普及により,世界の大多数の人々が電磁波に照射されるようになった.これに伴い,電磁波の安全性の再検討が必要になった.これまでの防護指針にはっきり疑問を投げかける研究があるわけではない.しかし,昨今のように,人体の近傍で電磁波に日常的にばく露される経験は人類の歴史上初めてのことである.工学と医学生物学の共同研究によって研究の信頼性が高まり,これまでの研究が見直されている.健康に大きなリスクはなさそうだが,しかし絶対に安全と証明することはできない.この不確かなリスクにどう対処したらよいか,さまざまな議論がある.無線通信の健全な発展のためには,このような研究も必要である.