2002 年 71 巻 7 号 p. 898-905
オージェ分析測定を行い,ユーザーからの疑問に答えるうち,われわれが十分な情報を伝えていればもっと手が抜けることは多いという印象を受けた.とはいえ,手を抜きすぎて機械的に元素分析を行い,分布を求めるのでは,誤解を生じる危険さえもある.物理的・化学的な基本にのっとり多くは避けることができるので,いくつかの設悶について説明し読者に理解を深めてもらうことを狙った.今回はFixed Retard Ratio (FRR) モードがオージェ分析で主として使われる理由,装置の構造と理想的ではない応答をどのように理解して知見との対応を考えるか,ピークが重なってしまっていてもデータを引き出すにはどのようにできるか,という点について述べる.