応用物理
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高周波電氣爐熔鋼の温度測定に就て (1)
海野 三朗
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1940 年 9 巻 2 号 p. 90-95

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抄録

1. 光高温計並に白金,白金ロヂウム熱電對に依りて高周波電氣爐内外の熔鋼の温度を測定した.
2. 高周波電氣爐内の熔鋼の温度は表面より内部に到るに從ひ高温を示し,其割合は抛物線によりて示さるる.容量1瓲の電氣爐では温度をT, 深さをDとせば深さと温度との關係は
T2=2.67×104D
を以て表ぱされる事を知つた.
3. 高周波電氣爐の熔鋼が第1表に示ぜる如きニツグルクローム鋼ならば爐内表面を光高温計で測定しEmissivityを0.67とせば,其時の熔鋼の雫均温度が得らるるし,又T珪素鋼ならば0.51とすれば出鋼以前に於ける熔鋼の年均温度を知る事が出來る.
4. 出鋼せる熔鋼がニツケルクローム鋼ならぱ其Emissivityは0.56であり, T珪素鋼ならば0.46である.上記二様のEmissivityにより爐内温度と出鋼温度とは一致する.
5. 光高温計は熔鋼の表面温度を測定するに便であり, W-Mo熱電對は熔鋼の内部を測定するに便である.
6. W-C及びC-Sic熱電對は挿入する長きによりて起電力が異なるから補正當時と同じ深さだけ挿入すれば辛じて測定出來るが熱電對としてはW-Moに遠く及ばない事を知つた.

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