主催: 横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
本研究では,中国の家系記録「族譜」をもとに,科挙合格者を多く輩出したひと つの家系を約500年に渡ってエージェント技術を用いて分析を行った.家系ネッ トワークと個人のプロファイルデータをそれぞれ隣接行列と属性行列として表現 し,実プロファイルデータを目的関数とする,マルチエージェントモデルによる 逆シミュレーションを実施した.その結果,家庭内において子供への文化資本の 伝達には,祖父と母が大きな影響を持つことがわかり,家族が維持する規範シス テムの一部を発見できた.本モデルによって,逆シミュレーション手法を用いた エージェントベースモデルが歴史学や人類学の分野において,新たな知識の発見 に貢献できることを示した.