主催: 日本心理学会第84回大会準備委員会(東洋大学)大会長 大島尚
会議名: 日本心理学会第84回大会
回次: 84
開催地: 東洋大学白山キャンパス
開催日: 2020/09/08 - 2020/11/02
ACTとは,アクセプタンス,脱フュージョン,「今この瞬間」との接触,文脈としての自己,価値づけ,コミットされた行為からなる六つのコア・行動的プロセスを用いて行動レパートリーの増加・拡大を図る介入技法である(熊野,2012)。本研究では,web調査を行い(調査参加者450名,それぞれ男性230名,女性220名,全体平均年齢46.9歳(SD=18.6歳)),ACTにおける各技法効果の実証的検討を行った。分析においては,年齢および性別を統制変数として,認知的フュージョンとマインドフルネスと価値の明確化の各3要因(交互作用項を含む)を独立変数,精神的健康の指標として反すう,省察,心理的ストレス反応を従属変数とした重回帰分析を行った。
その結果,省察において有意な2次の交互作用項が示された。具体的には,マインドフルかつ脱フュージョンが可能な態度である場合,自身の価値が明確化されており,積極的に行動に移されていれば,冷静に自分自身を俯瞰できる省察の向上につながる可能性が示されていた。認知的フュージョンとマインドフルネスに一定の相関がみられた点に問題を残すものの,ACTにおいて技法理解の一助になると考えられる。