日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: PP-067
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16. 教育
学校規模ポジティブ行動支援が学級の状態および教師のメンタルヘルスに及ぼす効果
*大対 香奈子庭山 和貴田中 善大松山 康成
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抄録

平成30年度の病気で休職した教育職員数は7,494人であり,精神疾患による休職者はその69.5%を占める。教師が職務上感じるストレスの要因となるものの一つに学級経営の困難が挙げられる。学校規模ポジティブ行動支援(SWPBS)は,学校環境を整えて児童に適切な行動を直接指導することで,問題行動を未然に予防し,関わる者全てのQOLの向上を目指す実践であり,近年海外を中心にその効果が実証されている。そこで本研究では,SWPBSの実践が学級の状態および教師のメンタルヘルスの改善に及ぼす効果を検討することを目的とした。2年間にわたりSWPBSに取り組んだ公立小学校1校の全児童407名と担任教師12名を対象とした。SWPBSの実践はX年度3学期から開始し,X+1年度の2学期までに定期的に標的行動を決め,その行動を増やすキャンペーン式の取り組みが全校で実施された。SWPBS実施前と後で「学級の荒れ尺度」を用いた4名の観察者による学級状態の評価と,教師に対して「バーンアウト尺度」による調査を実施した。その結果,X年度からX+1年度にかけ「先生の言うことに従わない人がいる」等3つの項目の評価に有意な改善が見られ,教師の情緒的消耗感にも有意な低下が確認された。

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