日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第84回大会
セッションID: SS-023
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公募シンポジウム
犯罪捜査と記憶3―事実認定者に当事者の声は届いているか
尾藤 昭夫綿村 英一郎伊東 裕司中園 江里人
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抄録

近年,誘導等の問題から記憶にまつわる証拠の信頼性が下がり,事件の事実認定は物証偏重で行われている。しかし,物証のみによる事実認定にはストーリー的な再構成が必要があるため,間違いが起こる可能性もある。われわれは,ポリグラフ検査で誤認逮捕を回避した事例から,このリスクが記憶にまつわる証拠で回避できることを示した。また,エピソードとしての事件の記憶を推断できる質問を組むことで,ポリグラフ検査も法学者の事実認定の資料になりうると論じた。さらに,早期に自由再生で得られた行動に関する供述は信頼でき,誘導的な面接を行っても謝罪,自由再生で新たな誘導が生じなくなる等から,供述証拠も公判で証拠として受け入れられうると論じた。今年は記憶にまつわる証拠を用いることで,物証のみの事実認定では解決が困難な他の問題を解決しうることと,事実認定における加害者・被害者の事件の当事者性の回復にもつながることを論じる。

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© 2020 公益社団法人 日本心理学会
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