主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
再犯防止対策の体系化が課題となっている窃盗犯には,窃盗行動に対する依存である窃盗症が含まれることが指摘されている。そこで本研究では,窃盗症における窃盗行動の喚起に関連する認知的要因を検討することを目的とした。民間医療機関に通院中の窃盗症患者15名と大学生および大学院生43名を対象に,窃盗症状や認知的特徴を問う質問紙と潜在的な窃盗に対する接近的態度を測定する認知課題(窃盗IRAP,窃盗AAT)を実施した。なお,窃盗IRAPに関しては,達成基準を満たさなかった窃盗症患者9名と大学院生1名を分析対象から除外した。その結果,窃盗症患者は大学生と大学院生よりも窃盗症重症度が高く,QOL,報酬知覚が低い一方で,窃盗IRAPと衝動性が低く,反社会性やセルフコントロールは差がないことが示された。また,窃盗症患者は,窃盗IRAPとセルフコントロールの高さとの間に強い正の相関(.88)が確認された(p<.05)。これらのことから,窃盗症においては,「窃盗をしてはいけない」という規範を内在化しているにもかかわらず,窃盗特有の衝動を制御できずに窃盗行動が引き起こされている可能性があると考えられる。