主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
虫は本能的に嫌悪されると考えられ,その要因は明らかになっていない。また,多くの研究で好きな虫と嫌いな虫に分類されるが,これは嫌悪感の種類を無視した分類である。本研究では,好き嫌い以外の新しい客観的基準によって虫を分類し,虫に対する嫌悪感の要因として文脈効果を検討した。虫への認知次元を調べるために,様々な虫に対する嫌悪感の類似度評定とそれに基づく分類を行った。多次元尺度構成法の結果,認知次元として第1軸に虫の嫌悪度,第2軸に虫の大きさが抽出された。クラスター分析の結果,有害性,親近性,家屋への侵入性,無害性のそれぞれを共通の性質として持つ4つのクラスターに分類された。次に,各クラスターのメンバーとなる虫を用いて文脈効果による嫌悪感の変動を調べた。その結果,いずれのクラスターにおいても,文脈一致条件よりも文脈不一致条件で不快・恐怖・敵意感情が増大した。本研究の結果,虫への認知は好きか嫌いかという単一次元ではないことが示された。また,クラスターに関わらず文脈不一致条件において不快・恐怖・敵意感情が増大したことから,文脈は虫に対する嫌悪感の要因の一つであると考えられる。