主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
一般に,自身に類似した顔(類似顔)は魅力的と評価される傾向が高いとされるが,先行研究では必ずしも一致した結果が示されているわけではない。また,類似顔選好の形成にどのような遺伝的/環境的要因が関わっているかについても,まだ不明な点が多い。一方,性的インプリンティングは,養育親をモデルとして,親と類似した特徴を持つものをパートナーとして選択する傾向を高めるため,これが類似顔選好の形成に関わっている可能性がある。そこで本研究では,異性親の顔と自身の顔との類似性によって類似顔選好が変化するかどうかを,質問紙法による自身の類似顔選好傾向の主観的評価と,顔刺激選択実験における行動的指標の2つの評価指標で検討した。その結果,主観的にはむしろ非類似顔を選好すると自己評価されたが,行動的指標では逆に弱い類似顔選好の傾向が確認された。一方,いずれの指標においても,親との類似性は影響を及ぼさなかったため,性的インプリンティングは類似顔選好の形成にほとんど関与していないと考えられる。