主催: 日本心理学会第85回大会準備委員会(明星大学)大会長 境敦史
会議名: 日本心理学会第85回大会
回次: 85
開催地: 明星大学
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/08
本研究では,過干渉(子どもの意思に背き,否定的感情を生起させる行為)の下位概念の整理と,その経験頻度を調査するため,過干渉的な被養育体験の頻度に特化した心理尺度を作成した。事前調査で得た「携帯の中身を確認する」「外出先についてくる」などの項目と,既存尺度(中島・芳川,2001;小川,1991;染矢他,1996;瀧・小川内,2013;内海,2013)の一部項目を集めて質問紙を作成し,実施した(N=116)。得られた回答を因子分析した所,「示唆的要求,禁止」「詮索」「精神面での束縛」の3つの因子が抽出された。またフェイス項目を用いた分散分析により,養育者が誰(父・母・祖父・祖母)であっても子どもに同等の否定的感情を生起させる可能性があること,中学校時代に「示唆的要求,禁止」行為の経験頻度が高い傾向が強いことが示唆された。このことから,特に青年期初期に,直接的に子ども自身の決定権を奪う行動に対して,最も否定的な感情を生起させやすい可能性が示された。今後は被験者数をさらに増やし,より詳細な検討が望まれる。