日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: SS-001
会議情報

公募シンポジウム
興奮と制止,強化と弱化,アレルギーと強迫:免疫反応でも強迫症でも治す原理はやっぱりエクスポージャー
伏島 あゆみ内山 伊知郎原井 宏明大矢 幸弘漆原 宏次坂上 貴之村井 佳比子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

古典的条件づけの発見が学習理論と行動療法に与えた影響の大きさは繰り返すまでもない。一方,古典に過ぎず,その影響は認知心理学などの新たな発見に置き換えられたと思っている人がいるかもしれない。そうではない。不安や強迫,アレルギーのようにありふれた病気の治療においても条件づけの概念は新しい示唆を与えてくれている。このシンポジウムではアレルギー疾患の専門家,不安や強迫の専門家,学習理論の専門家を招き,行動科学学会のミッションである基礎と臨床をつなぐことを目指す。アレルギーの予防や克服にはアレルゲンを回避するのではなく,早くからエクスポージャー(食べること)を通じて免疫寛容を誘導した方が良い(潜在制止)や,強迫に対するエクスポージャーと儀式妨害(ERP)において一般的な不安階層表に従った段階的な刺激ではなく,期待違反効果を狙った予想外の刺激を使う方が効果が高いことなどを示す。パブロフが残した影響は条件づけだけではない。ドグマに毒されず,事実だけを重視することを若手に説き続け,科学者をスターリンから守ろうとした。科学することはどういうことなのか? もこのシンポジウムの中で取り上げれれば幸いである。

著者関連情報
© 2021 公益社団法人 日本心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top