日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第85回大会
セッションID: SS-002
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公募シンポジウム
自閉スペクトラム症の感覚処理—基礎研究と臨床実践の連携をめざして—
井手 正和松島 佳苗柏野 牧夫岩永 竜一郎加藤 寿宏大須 理英子
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抄録

自閉スペクトラム症(ASD)児・者の多くが,感覚過敏や感覚鈍麻といった問題を抱えることが知られてきた。このメカニズムを解き明かすための研究の進歩には,ASDの感覚特性を知覚の諸要素に分解して捉えた時,どこにどのような特徴が表れているのかを実験的に明らかにする必要がある。そのためには,ASDの感覚の問題に取り組んできた臨床の実践家と連携し,当事者の実像に即した妥当な研究を推進することが求められる。企画者らは,これまで感覚過敏にはASD者の過剰に亢進した知覚の分解能と中枢神経における抑制機能の低下が関与することを報告してきた。さらに,不安を惹起する場面において,ASDでは副交感神経系による自己調整機能が低下している可能性を見出した。臨床では,行動反応の背景にある神経基盤を解釈し,臨床的仮説に基づき治療が展開されている。そのため,ASDの神経基盤を検証するための基礎研究との連携が重要となる。本シンポジウムでは,基礎研究と臨床実践それぞれの立場でこの問題に取り組んできた専門家が話題提供を行う。そして,基礎科学がいかに臨床場面に貢献することが期待されるのかを,指定討論者を交えて議論する。

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