日本心理学会大会発表論文集
Online ISSN : 2433-7609
日本心理学会第87回大会
セッションID: SS-015
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公募シンポジウム
当事者の声を尺度に届ける 尺度開発における質的研究アプローチ
佐藤 秀樹陶 貴行本田 真大北原 祐理日髙 友郎中村 菜々子国里 愛彦
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抄録

近年,研究者と生きた経験を持つ人々(当事者)が協働した研究が十分に行われていないことが問題視されている。当事者は研究で対象となる構成概念に関する「経験の専門家」であるため,尺度の開発や内容的妥当性を検討するうえでも不可欠な存在である。実際に,妥当性や信頼性といった測定特性の質の評価に関するガイドライン(e.g., COSMIN guidelines; Mokkink et al., 2018)でも,当事者と専門家を対象に尺度の開発と内容的妥当性を質的に検討することが推奨されている。しかしながら,従来の尺度開発研究では統計解析しか行われないことも多いため,数量データに馴染みがある研究者が質的研究法を用いる場合にどのような利点や難点を経験するのかはあまり議論されていない。そこで本シンポジウムでは,当事者を対象とした尺度開発における質的研究アプローチの重要性を整理したうえで,量的研究法に慣れ親しんだ研究者が質的研究法を使って尺度開発をした際の所感や困難点などについて話題提供する。そのうえで,質的研究法,尺度開発,当事者性などの観点から議論することで,本領域の今後の在り方について理解を深めたい。

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