PAIN REHABILITATION
Online ISSN : 2759-3355
Print ISSN : 2186-2702
総説
拘縮の病態とメカニズム
本田 祐一郎
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 15 巻 2 号 p. 1-7

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抄録
痛みやそれに伴う運動恐怖が生じると身体局所ならびに全身の不動が惹起され,この影響で関節運動が量的・質的に減少し,関節拘縮(以下,拘縮)が発生する。また,拘縮の発生によって不動が助長されると,痛みの増悪や新たな痛みの発生につながり,悪循環が形成される。そして,複合性局所疼痛症候群の診断基準のひとつに拘縮が組み込まれていることは病態形成におけるこの悪循環の重要性を示唆している。つまり,痛みのマネジメントにおいては拘縮の発生を予防するといった視点も不可欠といえ,このことは運動機能障害の複雑化・重篤化を予防する上でも重要である。周知のように,拘縮は関節周囲軟部組織の器質的変化に由来した関節可動域制限と定義されており,その病巣部位は皮膚,骨格筋,関節包など多岐にわたる。しかし,自験例の結果によれば,これらの病巣部位には共通して拘縮発生時にコラーゲンの過剰増生に伴う線維化が生じることが明らかになっており,これが拘縮の主要な病態といえる。そして,骨格筋を検索材料に拘縮の発生メカニズムを検索した結果,筋核のアポトーシスを契機としたマクロファージの集積ならびに炎症性サイトカインの発現といった事象が関与することが明らかとなった。加えて,マクロファージの集積や炎症性サイトカインの発現といった事象は痛みの発生メカニズムに関与していることも明らかになっている。つまり,拘縮の発生予防といった視点も踏まえた痛みのマネジメントにおいては,これらの事象を抑止することが重要といえ,筋収縮運動は不可欠な介入戦略といえる。そこで,本稿では痛みと併発する頻度が高い拘縮の病態やメカニズムを概説し,痛みのマネジメントとしての拘縮対策の意義やあり方を考えていく。
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