抄録
【目的】本研究では,慢性疼痛患者を対象に運動習慣の違いによる身体活動に関連する因子を調査した。
【方法】本研究は横断的研究であり,慢性疼痛患者184 例を対象とした。評価項目は,身体活動質問票
(IPAQ),1 週間の痛み数値的評価スケール(NRS)の平均値・最小値・最大値,不安・抑うつ尺度(HADS),痛みの破局的思考尺度(PCS),疼痛生活障害評価尺度(PDAS),運動恐怖感 (TSK),痛みの自己効
力感(PSEQ),QOL (EQ-5D-5L) とした。評価の実施後,対象者は運動習慣の有無で2 群に分け,群間比較を実施した。また,各群のIPAQ の 1 週間の総METs と各評価項目の相関を確認した後に,IPAQ の1 週間の総METs を従属変数とした重回帰分析を実施した。
【結果】159 例が解析対象となり,運動習慣あり群は83 例, なし群は76 例であった。群間比較では,IPAQ の1 週間の総METs,IPAQ の高強度の身体活動量(回/ 日,分/ 日),歩行(回/ 日,分/ 日),休日座位時間,NRS 最大値,PCS 合計,PCS 反芻,PCS 無力感,TSK,PSEQ に有意差が認められた(p < 0.05)。IPAQ の1 週間の総METs を従属変数とした重回帰分析にて,運動習慣あり群は,PSEQ,NRS 最大値,HADS 不安が(R² = 0.32),運動習慣なし群は,TSK,PCS 無力感,PCS 合計が独立した因子として検出された(R² = 0.39)。
【結語】身体活動に関連する因子は,運動習慣の有無によって異なった。運動習慣の違いの考慮は,慢性疼痛患者の運動促進の方策や治療プログラムの改善・修正に役立つと推察される。