2001 年 10 巻 1 号 p. 13-25
市場為替レートの変動は多くの諸要素によって決定され,必ずしもそれぞれの貨幣のもつ購買力を反映していない。多国間経済を国際比較する場合に,為替レートを使用して換算する方法は名目的な比較にすぎない。とくに中国と日本のような発展途上国と先進国との比較分析はこの意味においてより多くの困難をともなうことになる。両国間の絶対価格水準および各財・サービス間の相対比価がともに大きく異なっているからである。ここでは中日間産業別の購買力平価(Purchasing Power Parities:PPP)を測定し,それによって中日価格水準の差をなくした産業連関表を作成して実質比較を試みる。