2008 年 16 巻 2 号 p. 42-54
現在,都道府県や多くの政令指定都市は独自の温室効果ガス削減目標を掲げ,地域レベルの地球温暖化対策を模索する動きがある.それらを実施するための前提条件として,地域特性を反映し,かつ地域間比較が可能な地域レベルの温室効果ガス排出量の計測が不可欠である.しかし現状の自治体による計測結果はこの点に関して多くの課題を抱えている. 本稿では全都道府県を対象に県別CO2排出量を推計した.計測において,地域特性を反映させる目的で,各都道府県庁で独自に行なわれている温室効果ガスに関する調査データを利用したうえで日本全体の排出量と整合性があり地域間の比較可能性を高めるために産業連関分析におけるRAS法を応用した改訂RAS法を用いた. 推計した都道府県別CO2排出量から地域間の排出量や増減率の違いを検討し,自治体レベルの温暖化対策の可能性を考察した.