2013 年 21 巻 1-2 号 p. 27-38
日本の経済成長率は支出側GDP の実質値から算出されるが,中国の経済成長率は生産側GDP の実質値から算出される.また,各産業の実質付加価値は,日本ではダブルデフレーション法によって求められるが,中国では主としてシングルデフレーション法から求められている.本稿では,中国実質GDP の算出方法について考察を行ない,また,付加価値の数量測度をめぐって68SNA から08SNA における関連勧告の変遷に言及する.さらに日本の接続産業連関表を用いて,1960∼2000 年を対象に,ダブルデフレーション法とシングルデフレーション法の比較検証を行ない,そこからシングルデフレーション法によって算出される実質付加価値は経済成長率の過大評価につながる可能性があることが示唆される.