2025 年 33 巻 2 号 p. 1-15
産業連関分析はLCA(ライフサイクルアセスメント)で広く利用されてきたが,廃棄段階(EOL)の評価は不十分だった.これを補うため,EOL段階を含むWIO(廃棄物産業連関分析)が開発された.一方,金額ベースの産業連関表を物量フローに変換するWIO-MFAは,MFA(マテリアルフロー分析)と産業連関分析を統合し,より詳細な物質流動解析を可能にした.静的分析に留まるWIO-MFAに対し,時間軸に沿って製品廃棄やリサイクルを追跡する動的MFAツールとしてMaTraceが開発された.本稿では,WIOからMaTraceまでの研究の流れとその意義を論じる.