抄録
富山県は戦後,富山・高岡地域を中心に日本海側でトップの工業県であり,戦後そのシェアは落ちたとはいえ,富山新港を中心とする大規模な臨海工業地帯の建設を通して全国のシェアを回復してきた。また最近は環日本海経済圏の浮上によって対岸諸国との貿易も次第に脚光を浴びようとしている。本稿ではとくにこの背景になった富山新港の臨海工業地帯の製造工業の集積過程を地域I-O分析の手法によって分析する。とくに注目すべきは84部門分類による品目別の生産誘発効果で,平成3年で直接効果,1次効果および2次効果を合わせた総合効果は4,610億に達している。