2021 年 74 巻 26 号 p. 71-83
特許制度はイノベーション推進に大きな役割を果たしうる仕組みであるが,保護対象を適切に設定できなければ十分な効果を発揮できない。現在,そのような点からの議論が活発に行われているのが米国特許法101条の特許適格性(発明該当性)である。現在の米国では,2012年3月のMayo最高裁判決及び2014年6月のAlice最高裁判決での判示に基づくMayo/Aliceテストにより特許適格性に関する判例上の例外に該当するか否かが判断されるところ,両最高裁判決以降,特許権侵害訴訟において特許適格性なしとして特許を無効とする判決が急増し,イノベーション推進の障害になっているとの意見も少なくない。本稿では,米国における特許適格性に関する近況とあわせて3件のCAFC裁判例を概観することで,クレームされた発明の技術的特徴の考慮に関する観点からイノベーション推進に向けた特許の保護対象について考察する。