別冊パテント
Online ISSN : 2436-5858
学習済みプログラムのパラメータを物の発明として把握できるのか
松下 正
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2022 年 75 巻 27 号 p. 1-14

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抄録

 膨大なデータの収集や管理が可能になったことから,画像認識や予測ができるAI 学習用プログラムの提供が実用的になりつつある。かかるプログラムも自然法則を利用する限り,従来のコンピュータプログラムと同様に特許の保護対象となる。

 ここで,AI 学習用プログラムは,通常のプログラムと異なり,本質は,そのパラメータにある。にもかかわらず,かかるパラメータ(データの集合物)の特許法による保護について,特許制度小委員会報告書案では,前記パラメータは法上の「物」に該当するのか疑義があるため,当該パラメータをネット配信等する行為を侵害とできない問題点について指摘がなされているものの保護すべきか否かについては言及がなされていない。

 本稿では,前記パラメータを,特定の処理を行うプログラムを構築するための専用部品,すなわち,「プログラムの部品」として,「物」の発明に該当すると解釈できないかについて検討する。

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© 2022 日本弁理士会
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