抄録
本研究では、ゲル中で生じる周期的な沈殿現象を利用して新規なタイプの層状複合体の合成をおこなった。リン酸イオンを含むポリアクリル酸ゲルを作製し、これにカルシウムイオンを拡散させることでポリアクリル酸ゲル全体を巨視的に均一に石灰化させることが可能であった。カルシウムの拡散方向に垂直に厚さ約10μmのバンド構造が形成されていた。バンド部分はCa/P比が約1.7のリン酸カルシウムが高濃度で存在し、その中には水酸アパタイトの結晶粒子が含まれることが確認された。焼成によって複合体中のポリマーを除去することで水酸アパタイトの層状多孔体を得られた。