抄録
SiC焼結体は、低比重,高強度,耐薬品性等の優れた性質を持つと共に、半導体材料としても注目を集めている。近年、超塑性現象などを期待して、ナノSiC緻密焼結体の作製が試みられているが、従来の手法では、焼結助剤や高圧雰囲気を利用することなく達成することが難しかった。これまでに我々の研究グループでは、Mechanical Alloying(MA)法によってナノSiC粉末を作製し、これをパルス通電焼結法で緻密化することによって、50nm程度の粒径で構成されたナノSiC緻密焼結体(密度約98%)の作製に成功している。このナノSiC粉末は1700℃付近で急激な焼結挙動を示すと共に、MA過程で生じたと思われる積層無秩序構造の消失が見られている。本発表では、この消失と焼結の相関について詳細に報告する。