抄録
イルメナイト・ヘマタイト固溶体はコランダムベースの結晶構造を有し、秩序相(c軸方向にFeとFe+Ti層が交互に積層)と無秩序相(FeとTiがランダムに分布)が存在する。固溶体の磁気的性質はカチオン配列を含めた微構造に大きく依存し、秩序相のみがフェリ磁性を示す半導体となることが知られている。本研究では、PLD法を用いて作製した固溶体秩序相薄膜について、走査透過型電子顕微鏡を用いて微構造を観察し、磁気的性質との関係を調べた。高角度散乱暗視野像およびEELSスペクトルの両者において、フェリ磁性発現に寄与しているカチオンの秩序構造を直接観察することに成功した。