抄録
天然層状ケイ酸塩鉱物である雲母(マイカ)は弾力性に富み、高い絶縁性、耐熱性を有しており、かつ人体に有害な元素を含んでいないため家庭用の電気器具の絶縁材料やガラス繊維等への複合材料といった広い範囲で産業利用されている。また、層状構造を有する新機能性材料の可能性として高温超伝導や高熱電特性などが期待される。しかし、層状構造を有する雲母は薄膜化により電子デバイスなどへの応用が期待されるが薄膜化の研究はこれまでほとんど行われていなかった。本研究では、天然層状ケイ酸塩鉱物を利用した新規電子デバイス材料開発の可能性探求の第一歩として、パルスレーザーアブレーション成膜法(PLD法)による雲母の薄膜作成の可能性を検討し、世界で初めてc軸配向性雲母薄膜の合成に成功した。講演では合成プロセスと種々の評価を報告する。