消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
内視鏡の器械と技術
孤立性胃静脈瘤に対する巨大結紮器を用いた結紮術の経験
渋谷 進河島 孝彦高瀬 靖広
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1994 年 45 巻 p. 66-68

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抄録
 われわれはこれまで胃腎シャントのみられる孤立性胃静脈瘤に対して,経頸静脈的塞栓術(TJO)を施行してきた。しかし,胃腎シャントのみられない胃静脈瘤に対してはTJOは施行不可能である。一方,Stiegmannの結紮術は食道静脈瘤に対して考案されたので,結紮可能な範囲が胃静脈瘤には十分でない。そこで,われわれは結紮器の内筒の内径を10.3mmに広げ,長さを16mmに伸ばした巨大結紮器を考案した。この巨大結紮器による結紮術を,胃腎シャントの認められない,蛇が横たわったような胃静脈瘤症例2例に対して施行したところ,胃静脈瘤が全例で潰瘍化,瘢痕化して治癒した。また,各症例では治療6ヵ月および4ヵ月後の経過観察にて,胃静脈瘤は瘢痕化しており,再発が認められなかった。そこで,巨大結紮器を用いた結紮術は孤立性胃静脈瘤に対する治療法の1つとなりえると思われた。
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© 1994 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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