抄録
non-steroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs)を3カ月以上投与されている慢性関節リウマチ(RA)患者のHelicobacter pylori(H.pylori)感染,胃病変を対照群(NSAIDs服用歴のある症例,RA患者を除いた当科の症例)と比較検討した。RA群,対照群とも胃炎(びらん,出血,発赤,浮腫)に比べ,胃潰瘍の頻度が高かった。RA群の胃潰瘍の割合(32.8%)は,対照群のそれ(31.5%)と差がない。胃炎はRA群の24.4%にみられ,対照群(15.5%)に比し高い。胃病変(胃潰瘍,胃炎)を有する患者の割合は,対照群(37.8%)よりもRA群(57.1%)で多かった(p=0.0023)。H.pylori感染率は対照群に比しRA群において有意に低く,胃病変の頻度とは逆の関係にあった。胃潰瘍,胃炎例のH.pylori感染率もRA群で低かった。RA患者をH.pylori感染別にみると,陽性例,陰性例中の胃潰瘍の頻度は近似している(約30%)。一方,H.pylori陽性,陰性RA例中胃炎は各々19.4%,31.9%を占めており,陰性例で高い傾向にある。RA群,対照群のH.pylori陽性例中の胃潰瘍の頻度に有意差はみられない。これは胃炎においても同様である。このことは,RA群の胃潰瘍,胃炎例に対するNSAIDs投与時の胃粘膜障害に,H.pyloriは相互作用を示さないことを意味している。H.pylori陽性例,陰性例ともRA群,対照群間にSydney分類に基づく病理組織学的な炎症,活動性,萎縮scoreに相違を認めなかった。H.pylori陽性例では陰性例に比べ炎症,活動性が強いが,NSAIDsの組織像に及ぼす影響はみられなかった。