抄録
1994年10月より現在までに総胆管結石症に対し,内視鏡的乳頭バルーン拡張術(endoscopic papillary balloon dilatation : EPBD)または内視鏡的乳頭括約筋切開術(endoscopic sphincterotomy : EST)を施行し,数回の採石治療後,遺残結石確認のための造影にて,X線上総胆管内に陰影欠損を認めず,完全排石と判定された40例(EPBD31例,EST後再発9例)を対象とし,管腔内超音波検査(intraductal Ultrasonography)の1つである,ERUS(endoscopic retrogrode ultrasonography)を施行し,採石後の評価に対する有用性について検討した。ERUS上9/40例(22.5%)に残存結石が確認された。この9例は結石の平均個数2.2個,平均径16.1mmで,機械的砕石器(endoscopic mechanical lithotriptor : EML)使用例が6/9例(66.7%)と多かった。また全体をEML使用群と未使用群に分けると,残存結石はEML使用群で6/18(33.3%),未使用群で3/22(13.6%)と,EML使用群で高い傾向にあった。EPBD例における結石遺残再発率は,ERUS施行例では3.2%(1/31)と,未施行例9.7%(3/31)に比べ低い傾向が認められた。以上より総胆管結石症の内視鏡的治療において,X線のみでは結石が残存することがあり,特にEML施行例で頻度が高い傾向が認められた。ERUSは経口的胆道鏡に比べ走査性に優れ,親スコープに通常の診断用ファイバーが使用可能であり,総胆管結石治療後の遺残の有無の確認,および再発防止に臨床上有用であると思われた。