抄録
症例は28歳男性。平成8年7月,食事中の嚥下困難が出現し,近医受診。食道アカラシアと診断された。nifedipine内服にて一時軽快したが,その後内服無効となったため,精査目的で当科紹介入院となった。上部消化管造影検査では軽度食道拡張,粘液貯留がみられた。内視鏡検査では特記所見を認めなかった。そのため食道運動異常症を疑い,食道内圧検査を施行したところ,下部食道括約部(LES)圧55mmHg,弛緩残圧12mmHgであった。嚥下に伴う食道体部収縮波高は正常であったが,蠕動性はなく,すべて同時性収縮であった。以上よりびまん性食道痙攣類似疾患と診断。薬物療法は効果なく,内視鏡的バルーン拡張術(140~170mmHg,3分,3回)を施行したところ症状は消失した。食道運動異常症の治療法は確立していない。今回内視鏡的バルーン拡張術が有効であった食道運動異常症の1例を報告する。