日本歯周病学会会誌
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原著
ヒト歯根膜細胞の分化・増殖に対するBerberineの作用
池野 修功根本 英二金谷 聡介須藤 瑞樹向阪 幸彦島内 英俊山田 聡
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2018 年 60 巻 1 号 p. 13-25

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抄録

黄蓮の抽出物であるBerberineを含む漢方薬は,口腔内の炎症性疾患の予防および治療に用いられてきた。近年の研究により,Berberineは骨再生への有用性が示唆されている。歯周病で失われた歯周組織の再生には,歯根膜に存在する未分化間葉系細胞が重要な役割を持つことが知られている。しかしながら,Berberineが歯根膜細胞に及ぼす作用についてはほとんど知られていない。本研究はヒト歯根膜由来線維芽細胞(hPDL細胞)および不死化マウスセメント芽細胞に対するBerberineの作用を解析したところ,Berberineはそれらの細胞に対して増殖促進作用を有することを見出した。一方,BerberineはAlkaline phosphatase(ALP)の遺伝子発現および酵素活性を有意に抑制した。しかし,OsteocalcinやBone sialoproteinの遺伝子発現には有意な変化が認められなかった。BerberineはhPDL細胞において,p38 Mitogen-activated protein kinase(MAPK)およびExtracellular signal-regulated kinase 1/2(ERK1/2)のリン酸化を誘導した。しかし,Berberineによる細胞増殖の亢進に対してこれらの阻害剤であるSB203580(p38 MAPK阻害剤)およびPD98059(ERK1/2阻害剤)を作用させたところ,有意な抑制効果を示さなかったことから,MAPK非依存的に細胞増殖を促進することが示唆された。また細胞をPD98059で前処理することにより,BerberineによるALP活性及び遺伝子発現の抑制が解除されたことから,BerberineはERK1/2経路を介してALP発現およびALP活性を抑制していることが示唆された。以上のことから,Berberineは歯根膜細胞に対して分化度を低いレベルに維持した状態で細胞の増殖を促進させることが示唆された。

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© 2018 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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