1987 年 29 巻 1 号 p. 155-164
白血球は, 歯周疾患において宿主の生体防御のための重要な役割りを担っている。歯周疾患患者の白血球の諸機能は, 病態を反映する指標となると思われる。そこで, 病態の解析が急がれている重度進行性歯周炎 (rapidly progressive periodontitis) 患者13名について, 末梢血好中球の貪食能を健常人と比較・検討した。
RPP患者の貪食能は, 健常人に比べて, 付着能と細胞内取り込み能のいずれにおいても有意に低下しており, これは, 主として貪食反応に関与している好中球数の減少によるものであった。
さらに, 貪食能低下の機序を調べるために, 被験好中球のロゼット形成能, 血漿中の因子の影響, 血漿のオプソニン活性などについても検討した結果, RPP患者の好中球貪食能の低下は, 好中球自身に由来していること, さらに, 白血球機能評価は歯周疾患を解析する上で有用であることが示唆された。