1988 年 30 巻 1 号 p. 182-190
テトラサイクリン系抗生物質が, Bacteroides gingivalis, ヒト好中球およびヒト歯肉線維芽細胞由来コラゲナーゼ活性におよぼす影響について比較検討を行った。
B. gingivalis培養上清, 好中球のホモジネートおよび歯肉線維芽細胞の培養液より抽出した粗酵素をコラゲナーゼとして用い, 14Cで標識した仔ウシ腱コラーゲンを基質として活性測定を行った。
B. gingivalisのコラゲナーゼ活性は, 塩酸テトラサイクリン, 塩酸ミノサイクリンともに反応系50μg/mlの濃度で50%以上阻害された。
一方, 好中球のコラゲナーゼ活性は, 塩酸ミノサイクリンによって塩酸テトラサイクリンよりも強く阻害されるが, 歯肉線維芽細胞由来の酵素は, 両抗生剤によってほとんど阻害を受けなかった。また, 塩酸ミノサイクリンによるB. gingivalisのコラゲナーゼ活性阻害は, 反応液中のカルシウム濃度によってほとんど影響を受けなかったが, 好中球の酵素はカルシウム濃度に対して依存性が強く, 生理的濃度付近 (2mM) で, 塩酸ミノサイクリン50μg/mlによって70%の阻害を認めた。