1995 年 37 巻 1 号 p. 55-66
歯周疾患の部位差や個体差に対応できるプラークコントロール法の開発を目的として, 歯周ポケットの分布型の解析を試みた。今回は第一報として, 歯周ポケットの部位的特徴を調査した。対象は日本歯科大学新潟歯学部附属病院歯周治療科において歯周炎と診断された58名とし, 歯周ポケットの発現状況を他の臨床的パラメータを含めて詳細に調査した。歯周ポケットの発現状況は平均PDと4mm以上PD出現率から検討した。その結果, 歯周ポケットの発現は頬側より舌側, 歯面別では歯問隣接面, 歯種別では大臼歯部において高かった。この傾向はPlI値でも同様であった。上下歯種別の比較では, 上下顎の発現状況に差を認め, 特に前歯部においてその差が大きく, 下顎前歯部で低かった。一方PlIには上下顎差を認めず, 歯周ポケットの発現の上下顎差にはプラーク以外の因子の関与が考えられた。